2024〜2025年COVID-19ワクチンの効果を大規模検証
Association of 2024-2025 Covid-19 Vaccine with Covid-19 Outcomes in U.S. Veterans
背景
COVID-19ワクチンの接種率は減っているが、2024〜2025年COVID-19ワクチンの有効性は。
アメリカVA St. Louis Health Care SystemのAl-Alyらは、退役軍人医療システムの電子カルテ(EHR)を用い、2024年9月3日〜12月31日間にCOVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンを同日接種した群(164,132名)とインフルエンザワクチン単独接種群(131,839名)を比較し、2024〜2025年のCOVID-19ワクチンの有効性を観察的に評価した。
結論
2024〜2025年のCOVID-19ワクチンは、接種後6ヵ月間でCOVID-19関連の救急外来受診(推定有効性 29.3%)・入院(39.2%)・死亡(64.0%)のリスクを有意に低下させた(1万人あたりのリスク差、2.2)。これらのアウトカムに対するワクチンの有効性は28.3%であった(1万人あたりのリスク差、18.2)。COVID-19ワクチンは、年齢・主要併存疾患・免疫能状態に基づく事前規定サブグループ全体で、これらのアウトカムのリスク低下と関連していた。
評価
アメリカMedicare受給高齢者の2024〜25ワクチン接種率は28%であり、日本での推定(高齢者で18%)と水準的にはほぼ同等である。同ワクチンの有効性に関してはCDCの速報(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/mm7406a1.htm)があり、ここでの報告結果と類似している。
本研究は、インフルエンザワクチン単独接種群を実薬対照群として「健康なワクチン接種者バイアス」を低減し、また、ベースラインの184共変量を調整したロバストなものである。著者らは、観察された絶対リスク差が小さい(死亡は1万人あたり2.2件の減少など)ことは、現在のCOVID-19のベースライン重症度が低下していることを反映している可能性がある、としている。ワクチンは追加防御を提供するが絶対的利益は小さく、接種の価値は、個人の重症化リスクとワクチンの副作用リスクを考慮して評価すべきである。

