SanofiとViatrisのインフルエンザワクチンを直接比較:DANFLU-2試験
High-Dose Influenza Vaccine Effectiveness against Hospitalization in Older Adults
背景
高用量不活化インフルエンザワクチン(IIV3-HD)は、標準用量ワクチン(IIV3-SD)より優れたインフルエンザ予防効果を示すことが知られているが、入院などの重症アウトカムに対する有効性を、大規模試験で評価したデータは限られていた。
デンマークCopenhagen UniversityのBiering-Sørenseら(DANFLU-2)は、同国の全国的行政医療レジストリを使用し、2022〜2025年の3つのインフルエンザシーズンにおいて、65歳以上の成人332,438名をIIV3-HD群とIIV3-SD群に割り付ける実用的RCTを行った。
一次エンドポイントは、ワクチン接種後14日から翌年5月31日までに発症したインフルエンザまたは肺炎による入院の発生率であった。
結論
IIV3-HD群とIIV3-SD群間に一次エンドポイント有意差はなかった[IV3-HD群0.68% vs. IIV3-SD群0.73%]。相対ワクチン有効性は5.9%であった。重篤有害事象の発現率に差はなかった。
評価
SanofiのEfluelda(Fluzone)とViatrisのInfluvac Tetraの直接比較で、同プロトコルで設計されたスペインGALFLU結果とともにNEJMに併載されている(統合データはLancet次号に掲載予定)。
一次エンドポイントである「インフルエンザまたは肺炎による入院」において、高用量群が有意差を示さなかったという結論は、先行研究の結果と一部矛盾する。著者らは、その原因として、COVID-19パンデミック後の医療環境によりインフルエンザ感染が、より正確に同定されるようになったことを指摘している。一方、本研究の二次エンドポイントであるインフルエンザによる入院に対する相対有効性は、43.6%・35.9%と高値を示し、先行データと一致する。高用量ワクチンの真の臨床的利点は、インフルエンザウイルス感染そのものに起因する重症化を防ぐことにある、とみられる。