早期梅毒に対するベンザチンペニシリンG療法は単回で良い
One Dose versus Three Doses of Benzathine Penicillin G in Early Syphilis
背景
早期梅毒治療において、ベンジルペニシリンG(BPG)の適切な投与期間について長年の議論がある。
アメリカUniversity of AlabamaのHookらは、早期梅毒患者(HIV感染者を含む)249名をBPG240万単位を単回投与する群と、240万単位を週1回の間隔で連続3回投与する群に割り付ける非劣性RCTを行った。
一次エンドポイントは、6ヵ月時点の血清反応の陰転、または迅速血漿レアギン試験における希釈倍数の2段階以上の低下であった。
結論
単回投与の一次エンドポイント非劣性を認めた[単回投与76% vs. 3回投与群70%(差 −9ppt)]。両群で、臨床的再発や治療失敗はなかった。HIV感染の有無で有効性に差はなかった。参加者の大部分に、投与に伴う局所注射部位疼痛および圧痛があった(単回投与群76%、3回投与群85%)。
評価
この問題に関しては、米欧のガイドラインがともに単回投与を支持しており、ガイドライン遵守を強く後押しするエビデンスとなった。簡便性、患者の負担軽減、医療資源の効率化といった点で、意義は大きい。ただし、本研究は女性の参加者数が少なく、妊婦や晩期梅毒患者に対する有効性は評価されていない。また、治療効果の指標として用いられた血清学的応答は、改善に数ヵ月を要することがあり、必ずしも治療成功の完璧な指標ではない。