RSウイルスワクチンの効果をリアルワールドで確認
RSV Vaccine Effectiveness Against Hospitalization Among US Adults Aged 60 Years or Older During 2 Seasons
背景
2023年に60歳以上の成人を対象としたRSウイルス(RSV)ワクチンが承認され、75歳以上と重症化リスクのある60〜74歳の高齢者には1回の接種が推奨されているが、その持続期間は不明であった。
アメリカCenters for Disease Control and Prevention(CDC)のSurieらは、60歳以上の成人6,958名を対象に、2シーズンにわたってRSVワクチンがRSV関連入院をどれだけ予防するかを評価した。
入院患者群と対照群におけるRSウイルスワクチン接種のオッズを比較した。
結論
RSVワクチンは2シーズンを通じてRSV関連入院を58%予防する効果が示された。同シーズン接種では69%であったのに対し、前シーズン接種では48%と、効果の減衰が示唆された。さらに、免疫不全者(30% vs. 67%)や心血管疾患(56% vs. 80%)患者では、正常な患者に比べ、ワクチンの有効性が有意に低かった。重篤な入院転帰に対する予防効果は2年間持続し、侵襲的人工呼吸器の使用または死亡に対するVEは72%であった。
評価
RSVワクチンの有効性をリアルワールド条件で検討した観察研究で、特に2シーズン効果と入院予防効果を確認した。ここで示されたワクチン有効性(58%)は、臨床試験で報告された有効性(67%〜81%)と比べるとやや低く、臨床試験で除外された免疫不全者や心血管疾患患者といった、重症化高リスク集団が含まれていることが一因と考えられる。CDCは、2024年にRSVワクチン接種の推奨を更新し、75歳以上を「普遍的推奨」とした(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/wr/mm7332e1.htm)。なお、この研究期間にはPfizerとGSKのニワクチンが使われており、アジュバントのない前者に関するデータともみられるが、論文からは明らかでない。