身体活動の蓄積・軌跡と全死因・CVD死亡リスクとの関連を評価:メタアナリシス
Physical activity trajectories and accumulation over adulthood and their associations with all-cause and cause-specific mortality: a systematic review and meta-analysis
背景
身体活動(PA)レベルの健康へのインパクトは周知だが、従前の研究でのほとんどは単一時点で横断的PA測定のみが行われており、成人期におけるPAの長期軌跡および蓄積と、全死因死亡・心血管疾患(CVD)死亡・癌死亡リスクとの関連性は包括的に理解されていない。
オーストラリアThe University of QueenslandのMielkeらは、これらの関連を評価する系統レビュー・メタアナリシスを行った。
結論
85研究が含まれ、そのうち77件が全死因死亡、34件がCVD死、15件が癌死亡を評価していた。
解析の結果、全体的にPAが高いほど、すべての結果のリスクが低いことが示された。
継続的なPAは全死因死亡リスクを約30〜40%低減させ、PAの増加は全死因死亡リスクを20〜25%低減させた。
時間変動および累積/平均のPAにおいても、高PAレベルと全死因死亡リスクおよびCVD死亡リスクとの間に同様の逆相関が認められた。がん死亡リスクに対する関連はより弱く、堅牢ではなかった。非線形用量応答関係から、一貫したPAやPAの増加は、PAガイドラインを下回るレベルであっても大幅なリスク低減効果がみられた。一方、ガイドラインを上回るPA、特に増加傾向にあるパターンでは、追加のメリットは限定的であった。
評価
成人期におけるPAの長期軌跡と蓄積が、全死因死亡・CVD死亡リスク軽減と関連することを、最大規模のメタアナリシスで初めて定量的に示した。特に、成人期のどの段階からでもPAを開始することに健康上のメリットがあるという知見は、公衆衛生介入戦略において重要な示唆を与える。今後、PAの少ない人だけでなく、活動的な人が活動を維持できるよう支援する介入にも焦点が当たる可能性がある。ただし、PAパターンの減少に健康利益があるという示唆には、さらなる調査が必要である。