米国公的医療保険加入児の精神・神経発達症診断率が約10年で1.5倍増
Trends in Mental Health Diagnoses Among Publicly Insured Children

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
June 2025
333
開始ページ
1988

背景

アメリカの公的医療保険加入児の精神疾患や神経発達症(neurodevelopmental disorders)診断トレンドは。
アメリカEmory UniversityのCummingsらは、22州において2010〜2019年に公的医療保険に加入していた3〜17歳2,992万5,633名(1億2,930万6,637人年)のデータを解析し、精神疾患・神経発達症の診断割合の変化を推定した。
一次アウトカムは、暦年中の精神疾患・神経発達症の診断、13の特定の診断カテゴリのいずれかにおける診断であった。

結論

精神疾患・神経発達症と診断された児の割合は、2010年の10.7%から2019年には16.5%に有意に増加した。調査対象となった13の診断カテゴリーのうち9つで統計的に有意な増加がみられ、特に注意欠陥・多動性障害(ADHD)(2.3ppt)、心的外傷およびストレス因関連症群(trauma- and stressor-related disorders)(1.7ppt)、不安障害(1.6ppt)、自閉スペクトラム症(ASD)(1.1ppt)、うつ(0.9ppt)、その他の神経発達症(2.6ppt)で大きな増加がみられた。

評価

大規模データに基づいてアメリカの子どもの精神・神経発達症診断率のトレンドを初めて明らかにした、意義深い発端研究である。ただし、ASDの激増にみられるように、罹患率・有病率の実質増と診断率(臨床的・社会的注目度にも関連する)増との差異は、この調査では明らかでない。著者らはまた、このデータがパンデミック前までのものであることを強調し、その後の増加はもっと大きいとみられる、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell