米国公的医療保険加入児の精神・神経発達症診断率が約10年で1.5倍増
Trends in Mental Health Diagnoses Among Publicly Insured Children
背景
アメリカの公的医療保険加入児の精神疾患や神経発達症(neurodevelopmental disorders)診断トレンドは。
アメリカEmory UniversityのCummingsらは、22州において2010〜2019年に公的医療保険に加入していた3〜17歳2,992万5,633名(1億2,930万6,637人年)のデータを解析し、精神疾患・神経発達症の診断割合の変化を推定した。
一次アウトカムは、暦年中の精神疾患・神経発達症の診断、13の特定の診断カテゴリのいずれかにおける診断であった。
結論
精神疾患・神経発達症と診断された児の割合は、2010年の10.7%から2019年には16.5%に有意に増加した。調査対象となった13の診断カテゴリーのうち9つで統計的に有意な増加がみられ、特に注意欠陥・多動性障害(ADHD)(2.3ppt)、心的外傷およびストレス因関連症群(trauma- and stressor-related disorders)(1.7ppt)、不安障害(1.6ppt)、自閉スペクトラム症(ASD)(1.1ppt)、うつ(0.9ppt)、その他の神経発達症(2.6ppt)で大きな増加がみられた。
評価
大規模データに基づいてアメリカの子どもの精神・神経発達症診断率のトレンドを初めて明らかにした、意義深い発端研究である。ただし、ASDの激増にみられるように、罹患率・有病率の実質増と診断率(臨床的・社会的注目度にも関連する)増との差異は、この調査では明らかでない。著者らはまた、このデータがパンデミック前までのものであることを強調し、その後の増加はもっと大きいとみられる、としている。