毎日100分歩くと慢性腰痛リスクが23%低下
Volume and Intensity of Walking and Risk of Chronic Low Back Pain

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
June 2025
8
開始ページ
e2515592

背景

毎日の歩行量・歩行強度と慢性腰痛(LBP)リスクとの関連は。
ノルウェーNorwegian University of Science and TechnologyのHaddadjらは、同国HUNT研究のデータを用い、ベースラインで慢性LBPがなく、有効な歩行日がある11,194名を対象に、加速度計で測定した毎日の歩行量と歩行強度が慢性LBPリスクと関連するかを解析する前向コホート研究を行った。
一次アウトカムは、追跡調査時の自己申告によるLBP(3ヵ月以上持続する痛み)であった。

結論

平均4.2年の追跡調査で、14.8%がLBPを報告した。歩行量と歩行強度は慢性腰痛リスクと逆相関を示し、1日あたりの歩行時間が増えるほど、また歩行強度が増すほど慢性腰痛の相対リスクは有意に低下した。たとえば、1日78分未満の歩行者に対し、125分以上の歩行者では相対リスクが0.76であった。相互調整後も歩行量との関連は維持されたが、歩行強度との関連は弱まった。

評価

腰痛に対する歩行(散歩)の有益性に関しては、昨年のランドマーク的WalkBack試験(RCT)があるが(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)00755-4/fulltext)、この研究もコホート研究ではあるが大規模で、違う角度から比較可能な結論を出した。ポイントは質(強度)より量(時間)が重要ということで、ウォーキング研究でコンセンサスとなってきた、低負荷-長期持続というコンセプトと適合している。ただし、ここでの歩行データは1週間分のみで、1ヵ月あるいは1年間の行動パターンは反映していない可能性がある。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy