ST合剤の予防投薬で途上国の出生アウトカムを改善?:COMBI試験
A Trial of Trimethoprim-Sulfamethoxazole in Pregnancy to Improve Birth Outcomes
背景
母体感染は、特に途上国で有害な出生アウトカムの一因となっているが、妊婦へのトリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)の予防投与はそれを改善するか。
ジンバブエZvitambo Institute for Maternal and Child Health ResearchのChasekwaらは、早産が多くHIVの蔓延率も高い同国において、妊娠14週以降の女性993名(うちHIV感染者131名)を、出産までST合剤を投与する群とプラセボ群に割り付けるRCTを行った。一次アウトカムは、出生体重であった。
結論
初回投与は妊娠21.7週(中央値)に実施された。ITT解析で、ST合剤に一次アウトカム効果を認めなかった[平均差20g。有害事象の発生数は両群同等であった]。
評価
ST合剤は安価で、サハラ以南アフリカですでに広く使用されており、さらなる汎用を目指すRCTだったが、一次アウトカムで失敗した。他方、二次アウトカムでは、早産率の低減(特にHIV感染部分集団)、生児体重の増加が認められている。一般的汎用ではなく、特にHIV感染蔓延地域やNICU等医療資源への低アクセス地域での集中使用が目指されることになるが、新しい低コストアプローチの開発が必要となった。