ナルコレプシー1型に経口オレキシン 2 型受容体選択的作動薬oveporextonは有望:第2b相RCT
Oveporexton, an Oral Orexin Receptor 2-Selective Agonist, in Narcolepsy Type 1
背景
ナルコレプシー1型(NT1)はオレキシン神経脱落による過眠症で、脳内オレキシン濃度が低い。
アメリカTakeda Development Center AmericasのOlssonらは、1〜70歳のNT1患者112名を対象として、新規経口オレキシン2型受容体(OX2R)選択的作動薬oveporexton(TAK-861)の安全性・有効性を検証する第2b相RCTを行った(実薬4用量とプラセボ)。
一次エンドポイントは、覚醒維持検査(MWT)の平均睡眠潜時のベースラインから8週までの変化量であった。
結論
一次エンドポイントは、各oveporexton用量群で12.5分・23.5分・25.4分・15.0分増加し、プラセボ群では−1.2分の減少であった。
エプワース眠気尺度(ESS)総スコアの平均変化は、各oveporexton用量群で−8.9・−13.8・−12.8・−11.3の減少、プラセボ群で−2.5の減少であった。1週間あたり情動脱力発作回数も実薬群でプラセボと比較し有意に減少した。主なoveporexton関連有害事象は不眠(43%)・尿意切迫(30%)・頻尿(29%)で、肝毒性はなかった。
評価
Takeda Pharmaceutical創薬のファーストインクラス薬で、従前のNT薬とは異なり初めての受容体作動薬である。試験を完了した参加者の95%が長期延長試験に登録し、多くの患者が1年以上の治療に達している。ここでの結果は極めて有望で、第3相が進行中であり、結果は今年発表される予定という。なお、ナルコレプシー2型(NT2)の第2b相試験も実施されたが(https://clinicaltrials.gov/search?term=NCT05687916)、現時点では、NT2を対象としての開発予定はないという。オレキシンの生物学的作用が関与する、他病態への適応拡張も有力である。