パーキンソン病に対するiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞治療は有望
Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson’s disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
Nature
年月
April 2025
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背景

パーキンソン病(PD)に対するiPS細胞(iPSC)による細胞治療は可能か。
日本Kyoto University(京都大学)のTakahashiらは、50〜69歳の同患者7名に対し、iPSC由来ドパミン神経前駆細胞を脳被殻に両側移植する第1/2相試験を行った。一次アウトカムは、安全性および有害事象の発生であった。

結論

重篤有害事象はなく、軽〜中等度の有害事象が73件発生した。抗PD薬の投与量維持によりジスキネジアが増加した。MRIで移植組織の異常増殖は認められなかった。有効性評価の対象6名中4名でMDS-UPDRSパートIIIのOFFスコアが、5名でONスコアが改善した。OFFスコアは平均9.5ポイント(20.4%)、ONスコアは平均4.3ポイント(35.7%)改善した。Hoehn & Yahr重症度分類のステージは4名で改善した。
被殻への18F-DOPA流入定数(Ki)値は平均44.7%増加し、高用量群でより顕著であった。

評価

PDへの細胞治療は、まずヒト中絶胎児組織(hfVM)を用いて行われ、有望視されたが、合併症や倫理的課題により停滞している。iPSCを用いたこの京大研究は、安全性を確立して、一定の効果ポテンシャルを示した。Natureは、Sloan KetteringによるhESC由来ドパミン神経細胞治療の第1相試験結果を併載しており(https://www.nature.com/articles/s41586-025-08845-y)、競争は激しい。iPSC細胞治療は、University of Californiaでも、第1/2相試験が行われている(https://clinicaltrials.ucsd.edu/trial/NCT06482268)。
FDAが、承認のために第3相シャム対照試験を要求するかどうかが注目される。

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取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell