巨細胞性動脈炎にウパダシチニブ登場:SELECT-GCA
A Phase 3 Trial of Upadacitinib for Giant-Cell Arteritis
背景
巨細胞性動脈炎(GCA)治療では、未だグルココルチコイドが礎石だが、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブの有効性と安全性は。
ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのBlockmansら(SELECT-GCA)は、新規発症または再発性GCA患者209名を対象として、ウパダシチニブ投与後26週コルチコステロイドを漸減する戦略の有益性を検証するRCTを行った(対照:プラセボ投与後52週グルココルチコイドを漸減)。
一次エンドポイントは、52週での持続的寛解(12〜52週目までGCAの徴候・症状がみられないこと、およびプロトコルで規定されたグルココルチコイドの漸減を遵守していること、と定義)。
結論
ウパダシチニブ(15 mg)の一次エンドポイントに効果を認めた(46.4% vs. 29.0%)。二次エンドポイント(持続的完全寛解・疾患再燃までの時間・累積グルココルチコイド曝露量・患者報告アウトカム)においてもプラセボよりも優位であった。
安全性アウトカムに群間差はなく、重大心血管系有害事象はなかった。
評価
同疾患におけるステロイドへの上乗せとしては、現在トシリズマブだけが承認されている。4大陸24ヵ国の患者が参加したこの試験は、トシリズマブ第3相と同規模・類似設計のもので、結果も類似している(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1613849)。以後は同薬との競合となる。承認は確実だが、試験の延長期間で安全性に関する追加データが得られることとなる。