乳児先天性下痢性腸疾患のCODEを解明
The Genetic Architecture of Congenital Diarrhea and Enteropathy
背景
先天性下痢性腸疾患(CODE)は、乳児期に発症する稀な腸上皮細胞の分子疾患だが、遺伝子基盤は未明である。
カナダHospital for Sick ChildrenのMuiseらは、同疾患が疑われる129名の乳児のエクソームまたはゲノムを解析する国際共同研究を行った。
結論
患児で開発された高度な計算手法とゼブラフィッシュモデルにおける遺伝子編集実験により、新規CODE遺伝子を同定し、それらの機能特性を明らかにした。
48%の症例で、NEUROG3の新しい創始者変異など原因変異を同定した。細胞モデルとゼブラフィッシュモデルで、CODE関連の3つの新しい遺伝子(GRWD1・MYO1A・MON1A)を同定し、機能特性を明らかにした。解析結果は62家族に提供された。
評価
ディープラーニング、AI、臨床意思決定支援ツールを使用し、患児の固有のニーズに焦点を当てた精密医療をする国際協力、Precision Child Health(https://www.sickkids.ca/en/about/precision-child-health/)の取り組みで、国際的次世代シーケンシング研究で、CODEの実態に最接近した。変異遺伝子は、リボソームでの生合成の機能不全、ブラッシュボーダーでの運動異常、エンドサイトーシス機能障害に関与する、という。現在の対応はすべてサポート的だが、著者らは、CODEの遺伝背景をより深く理解することで、患児の軌跡を変える薬の開発に一歩近づくことができる、としている。