初期MSにビタミンD3高用量療法:D-Lay MS
High-Dose Vitamin D in Clinically Isolated Syndrome Typical of Multiple Sclerosis: The D-Lay MS Randomized Clinical Trial

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
March 2025
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背景

ビタミンD欠乏は多発性硬化症(MS)の危険因子で、疾患活動のリスクと関連するが、その補給がMSに有効であるというエビデンスは強固でない。
フランスUniversity of MontpellierのThouvenotら(D-Lay MS)は、臨床的に孤立したMS症候群(CIS)患者316名を対象に、単独療法として2週間毎24ヵ月間の高用量コレカルシフェロール(ビタミンD3)投与の有効性を検証した(対照:プラセボ)。
一次アウトカムは、疾患活動性である(24ヵ月の追跡期間中の臨床的再発あるいはMRI上の活動性と定義)。

結論

高用量コレカルシフェロール療法の一次アウトカム効果を認めた(60.3% vs. 74.1%、HR 0.66)、一次アウトカム発生までの期間中央値もビタミンD3群が有意に長かった(432日 vs. 224日)。
3つの二次MRIアウトカムも全てビタミンD3群が優位であった:MRI活動(57.1% vs. 65.3%、HR 0.71)、新規病変(46.2% vs. 59.2%、HR 0.61)、造影増強病変(18.6% vs. 34.0%、HR 0.47)。
10項目の二次臨床アウトカムでは有意差はなかったが、再発率はビタミンD3群が低かった(HR 0.69)。重篤有害事象はビタミンD3群の17名とプラセボ群の13名に発生したが、いずれもコレカルシフェロールとは関連しなかった。

評価

MSに対するビタミンDの補給はすでに臨床実践されているが、強い有効性エビデンスはない。今回のRCTは、高用量(10万国際単位)を使用した比較的大規模なもので、一定強度のエビデンスを提出しえた。
標準療法への追加としてのビタミンDパルス療法の有用性を示唆するもので、安価で忍容性の高い上乗せ選択肢となる。著者らは、ベースラインで重度の欠乏症がある患者を対象に、さらなる検証を行うことを提唱している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell