結核治療にデジタルアドヒアランステクノロジー(DAT)は無益?
Effect of digital adherence technologies on treatment outcomes in people with drug-susceptible tuberculosis: four pragmatic, cluster-randomised trials
背景
結核(TB)治療の鍵は服薬アドヒアランスだが、デジタルアドヒアランステクノロジー(DAT)であるスマートピルボックスと薬剤ラベルはTB患者の治療結果不良を軽減できるか。
オランダKNCV Tuberculosis FoundationのJereneらは、フィリピン・南アフリカ・タンザニア・ウクライナの成人TB患者を対象に、これを検証するクラスターRCTを実施した(対照: DAT不使用, n=25,606)。
一次アウトカムは、治療失敗・追跡不能(連続2ヵ月以上の治療中断)・治療開始後28日以上の多剤耐性レジメンへの切り替え・死亡の複合であった。
結論
すべての国において介入群・対照群間に一次アウトカム差がなく、DATによって治療結果の悪化は軽減されなかった。
評価
使用されたピルボックスは、服薬のための音声と視覚によるリマインダーがあり、ボックスが開かれると、アドヒアランスプラットフォームに信号が送信される。薬剤ラベルは、コードを示すラベルが貼られており、服用時にメッセージが送信される。それ以外の場合は、リマインダーが送信される。医療提供者は、デジタルプラットフォーム上でリアルタイムにアドヒアランスデータを利用できる。
類似DATアプローチが、すでに数百人規模のRCTで有効性が示唆されたため(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36167528/)、大規模決検証が行われたものが、意外にも無益結果となった。対象集団にマッチしていなかった可能性があり、手法の調整が試みられることになろう。