黄熱ワクチンの低用量化は可能:NIFTY試験
Lo-Dose Yellow Fever Vaccine in Adults in Africa
背景
黄熱病は高致死率のアフリカ・南米の感染症で、ワクチン単回接種により生涯免疫を獲得できるが、ワクチン製造は困難なため供給は不安定で、投与量低減の可能性が模索されている。
ケニアKenya Medical Research InstituteのWarimweら(NIFTY)は、ウガンダとケニアで黄熱病の予防接種や感染歴のない成人480名を、ダカール・パスツール研究所(IPD)の黄熱病ワクチン(17D−204株)の標準用量(13,803 IU)または低用量(1000 IU・500 IU・250 IU)の接種に割りつける非劣性RCTを行った。
一次エンドポイントは、標準用量を比較した各分割用量のワクチン接種後28日目のセロコンバージョンである。
結論
標準用量でのセロコンバージョンの発生率は98%で、1000 IUとのセロコンバージョンの発生率の差は、ITT集団で0.01%、PP-based集団で−1.9%であった(500 IUで同0.01%・−1.8%, 250 IUで−4.4%・−6.7%)。計111件のワクチン関連の有害事象があり、1件のみが重度であった。有害事象発生率は4群同等であった。
評価
すでに試みられている手法を正規RCTで確認した研究で、500IUに半減できる、という結論を出した。著者らは、製造ワクチンの力価の低減により、接種対象を20倍以上にも増やすことが可能ともしており、この方策は、黄熱病予防に安定性と広汎性をもたらす。ただし、この試験は成人が対象であり、また この用量の単回接種で生涯免疫が獲得できるかどうかは、未だ確認されていない。