ランナーの利用可能エネルギー不足(LEA)はパフォーマンス低下・事故のリスク:ボストンマラソン調査
Boston Marathon athlete performance outcomes and intra-event medical encounter risk associated with low energy availability indicators
背景
ランナーの利用可能エネルギー不足(LEA)はパフォーマンス低下や医療救護の利用と関連するか。
アメリカHarvard Medical SchoolのWhitneyらは、2022年ボストンマラソン参加ランナー1,030名を対象に、レースの1〜4週間前に自己申告による身体症状、食事、トレーニング、病歴に基づいたLEA指標のデータを得た上で、LEA指標とレース成績および大会中の医療救護利用との関係を評価する観察コホート研究を行った。
結論
女性42.5%、男性17.6%がLEAであった。非LEAランナーは、LEAランナーと比較して、レースタイムが有意に優れ、最終順位(DFP)の平均結果も良好であった(女性DFP: 948.9 vs.1377.4、男性DFP:794.6 vs. 1262.4)。LEAランナーは、非LEAランナーと比較して、あらゆる重症度における医療救護利用の相対リスク(RR)が1.99倍増加し、重症によるRRは2.86倍増加した。軽症のRRに有意差はなかった。
評価
小規模横断研究で、LEAとパフォーマンス低下や健康への悪影響との間に関連があると報告されていたが、大規模コホート研究により、LEAと競技パフォーマンス低下・医療救護利用のリスク増との関連を確認した。女性ランナーの半数近くがLEAである、という驚きの結果を報告して、選手や関係者のLEA認識の促進を促すとともに、マラソンランナーのLEA指標によるスクリーニングの実装を提唱した。