ACL損傷には漸進的リハビリでよい:Delaware-Oslo ACLコホート治療アルゴリズムの10年追跡結果
Clinical, Functional, Sports Participation, and Osteoarthritis Outcomes After ACL Injury: Ten-Year Follow-up Study of the Delaware-Oslo ACL Cohort Treatment Algorithm
背景
膝前十字靭帯(ACL)損傷の治療には前十字靭帯再建術(ACLR)が推奨されることが多いが、リハビリテーションのみでも同様の結果が報告されている。
ノルウェーNorwegian School of Sport SciencesのUrhausenらは、Delaware-Oslo ACLコホート治療アルゴリズムの10年間の追跡調査を行い、重大な同時損傷のない片側ACL損傷患者191名における漸進的リハビリテーション単独、早期ACLR、遅延ACLRを比較した。参加者は5週間の漸進的リハビリテーション後、治療の選択を行った。
患者報告アウトカム(IKDC-SKF、KOOS、PASS達成)・大腿四頭筋筋力・Hop test・スポーツ参加・荷重位X線撮影による画像評価を行った。
結論
コホート全体の78%でPASSが得られた。72%は大腿四頭筋の筋力が対称的、85%以上はHop testが対称的で、93%がスポーツ参加していた。1%が症候のある変形性関節症、12%に画像診断による変形性関節症があった。リハビリテーション単独と早期ACLR後のアウトカムは同様であった。遅延ACLR後は、KOOS(スポーツ)・KOOS(QOL)・Hop testが有意に低かったが、その他は2群と同様であった。リハビリテーション単独群参加者は、ACLR群参加者よりも年齢が高く、活動性が低く、外側半月板の同時損傷を起こす可能性が高かった。
評価
Delaware-Oslo ACLコホート治療アルゴリズムには、術前および術後の段階的な積極的リハビリテーション、患者教育、臨床試験、治療に関する共同意思決定が組み込まれており、術後9〜12年の追跡で通常治療よりも良好なアウトカムを示している(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11291834/)。
この研究では、Delaware-Oslo ACLコホート治療アルゴリズムに従い、漸進的リハビリテーションのみを選択した参加者は、高齢で活動性が低いにもかかわらず、臨床的・機能的・スポーツ参加・変形性関節症のアウトカムで、早期ACLRを選択した参加者と同様の結果がもたらされることが確認された。