HAEの生体内CRISPR治療NTLA-2002、第2相RCTをクリア
CRISPR-Based Therapy for Hereditary Angioedema
背景
遺伝性血管性浮腫(HAE)患者に対するカリクレインB1コード遺伝子KLKB1を標的化する生体内遺伝子CRISPR編集治療NTLA-2002の第1・2相試験の第2相パートが報告された。
オランダAmsterdam UniversityのCohnらによるもので、HAE成人患者27名をNTLA-2002 25 mg単回投与、50 mg単回投与、プラセボに割り付け、評価した。一次エンドポイントは、1〜16週目までの1ヵ月あたりの血管性浮腫発作回数(月間発作率)であった。
結論
一次エンドポイントは、NTLA-2002 25 mg群0.70、50 mg群0.65、プラセボ群2.82であった。プラセボ群との差はそれぞれ−75%と−77%であった。25 mg群の40%と50 mg群の73%は期間中に発作がなく、追加治療を受けなかった。介入群で頻度の高かった有害事象は、頭痛・疲労・鼻咽頭炎であった。血漿総カリクレイン蛋白濃度のベースラインから16週目までの平均変化率は、25 mg群−55%、50 mg群−86%で、プラセボ群では変化しなかった。
評価
CRISPRベースの遺伝子治療は、この数年間で急進しており、トランスサイレチンアミロイドーシス・HAE・遺伝性網膜変性症で有望結果が報告されてきたが、プラセボ効果は否定できなかった。この第2相研究は、創薬企業Intellia Therapeuticsの基金で行われた初めての小規模RCTで、2用量での有効性・安全性を確認した。単回の遺伝子治療でHAE発作を生涯コントロールできる可能性が視野に入り、第3相への期待は大きい。