心筋障害を伴う高齢股関節骨折患者は入院後6時間以内に手術を:HIP ATTACKサブスタディ
Myocardial injury in patients with hip fracture: A HIP ATTACK randomized trial substudy
背景
高齢者の股関節骨折は手術遅延によりリスクが増加するとされ、外科手術は入院後24〜48時間以内の早期手術が望ましいとされているが、入院後6時間以内に迅速手術すると、死亡率や合併症リスクはより低下するか。
カナダPopulation Health Research InstituteのBorgesらは、手術のタイミングに関する最大規模のRCT(HIP ATTACK)のサブスタディを行い、転倒など低エネルギー外傷による股関節骨折があり、入院時にトロポニン値測定をした患者1,392名において迅速手術(6時間以内)と早期手術(24時間以内)のアウトカムを比較した。
一次アウトカムは、全死因死亡率であった。
結論
到着時トロポニン値が高かった患者(23%)における診断から手術までの平均時間は、迅速手術群では6時間、標準治療群では29時間であった。
一次アウトカムは、迅速手術が標準手術より有意に低く(10% vs. 23%)、二次アウトカム(90日間全死亡率・非致死性心筋梗塞・脳卒中・うっ血性心不全)も有意に低かった(14% vs. 30%)。到着時トロポニン値が正常だった患者では、死亡率に差はなかった(8% vs. 9%)。>
評価
心筋障害を伴う高齢股関節骨折患者は直ちに手術した方が良いことを示唆するエビデンスを提出し、ガイドラインインパクトのある結果となった。サブスタディの制約を軽減すべく、追跡試験HIP ATTACK-2(https://clinicaltrials.gov/study/NCT04743765)が推し進められており、より明確なタイミングが決定されることになろう。