HBV母子間感染予防のためのテノホビル早期開始
Tenofovir and Hepatitis B Virus Transmission During Pregnancy: A Randomized Clinical Trial
背景
B型肝炎ウイルス(HBV)母子間感染の予防における、妊娠16週目から出産までのテノホビル(TDF)早期投与は、標準治療に非劣性か。
中国Guangzhou Medical UniversityのPanらは、HBV DNA値が200,000 IU/mLを超える20〜35歳の妊婦280名を対象に、妊娠16週目から出産までのTDF投与+生後12時間以内のHBVワクチン投与または標準治療(妊娠28週目から出産までのTDF投与+生後12時間以内のHBVワクチン投与+出生時のHBV免疫グロブリン[HBIG]投与)に割り付け、これを検証する非劣性RCTを行った。
一次アウトカムは、母子感染(MTCT)率であった。
結論
TDF早期投与の標準治療への非劣性を認めた[0.76% vs. 0%(3%の非劣性マージン内)]。これは、per-protocol集団でも同じだった。先天性障害・奇形の発生率は、TDF早期投与群が低かった[2.3% vs. 6.3%]。
評価
母親のHBV DNA値200,000 IU/mL未満達成率でもTDF早期投与群が優れた、という。忍容性も高く、吐き気のためにTDFを中止した母親は1名のみであった。コホート全体で最も多くみられた有害事象は、母親のALT上昇・上気道感染・嘔吐であった。生児では、グレードIIIまたはIVの有害事象の発生率は、群間同等だった。
標準治療化が視野に入る有望な手法だが、追跡期間が短く、中国以外の集団への一般化可能性は不明、また試験が盲検化されていない。追試による確認が必要である。