ダノン病への遺伝子導入治療RP-A501、第1相を通過
Phase 1 Study of AAV9.LAMP2B Gene Therapy in Danon Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2024
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背景

ダノン(Danon)病は、LAMP-2遺伝子変異によって起こる稀なX連鎖性優性遺伝疾患(リソソーム蓄積病[LSD])で、正確な有病率は不祥である。男性患者の主な表現型は進行性心肥大・心機能障害で、多くは成人期以後長くは生存できない。
アメリカUniversity of CaliforniaのGreenbergらは、同男性患者7名に対する高用量RP-A501(AAV9: LAMP2B)単回遺伝子導入治療の安全性・有効性を評価する24〜54ヵ月の第1相試験を行った。参加者中5名は15歳以上、2名は11〜14歳で、全参加者は、プレドニゾン・タクロリムス/シロリムス・リツキシマブによる免疫調節レジメンを受けた。
一次アウトカムは、RP-A501の安全性と毒性作用、心筋LAMP2トランスダクションとタンパク質発現、心不全症状の安定化または軽減、心構造と機能の安定化または改善であった。

結論

1名は、血小板減少症および急性腎障害を伴う補体介在性の血栓性微小血管症(TMA)(グレード 4)、3名は、ダノン病関連骨格筋症のグルココルチコイド関連増悪(グレード 3)であった。ベースラインで左室収縮機能障害(LVSD)であった1名は、進行性心不全となり、遺伝子治療5ヵ月後に心臓移植を受けた。ベースラインで左室駆出率が正常であった6名では、心臓LAMP2タンパク質の発現、左室質量指数のベースラインからの減少/安定化、左室駆出率の維持、cTnIおよびNT-proBNPのレベルの減少または安定化がみられた。24〜54ヵ月後、すべての患者が生存しており、副作用は消滅した。

評価

Rocket Pharmaceuticalsによるもので、ATTRに対するCRISPR遺伝子編集治療に続く、心筋症の遺伝子導入治療の試みである。安全性と遺伝子発現が確認され、機能的効果も示唆される良好な結果となり、この結果に基づき、8歳以上の男性ダノン病患者を対象としてRP-A501(6.7×10 13ゲノム コピー/kg)を投与する第2相試験が進行中である。他の単一遺伝子因性心筋症への拡張も期待される。

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取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell