アメリカにおける高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)のヒトへの感染:CDC報告
Highly Pathogenic Avian Influenza A(H5N1) Virus Infections in Humans
背景
アメリカで高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)のヒトへの感染が相当例発生している。アメリカCenters for Disease Control and Prevention(CDC)のGargらは、8ヵ月間(2024年3〜10月)の公衆衛生監視データを分析し、ヒトH5N1症例の傾向を報告している。
結論
6州でH5N1感染が46件報告されており、20名は感染した家禽、25名は感染または感染が疑われる乳牛に曝露し、いずれも軽度で入院・死亡はなかった。1名は曝露が特定されなかった。この患者は呼吸器症状がなく入院し、定期サーベイランスでA(H5N1)ウイルス感染が検出された。
症例患者45人全員が少なくとも1つの兆候または症状を報告した。養鶏・酪農従事者ともに結膜炎が最も多く(93%)、次いで発熱(49%)、呼吸器症状(36%)であった。養鶏従事者の方が酪農従事者よりも多く報告された症状は、発熱・頭痛・筋肉痛・呼吸器症状であった。症例患者の症状プロファイルは経時的に変化しなかった。個人用保護具(PPE)の使用は、手袋(71%)・眼保護具(60%)・フェイスマスク(47%)で、眼保護具と呼吸器またはフェイスマスクの併用者は36%で、PPEの使用率は、酪農従事者より養鶏従事者の方が高かった。
評価
平均罹病期間は4日で、87%の患者は症状発現後平均2日でオセルタミビルによる抗ウイルス治療を受け、有効であった。ヒト-ヒト感染は確認されていないが、昨年末単一変異でヒトへの親和性が上がることが報告され、楽観はできない(https://www.science.org/doi/10.1126/science.adt0180)。ただし、mRNAベースを含む新ワクチンの開発は急進中である。