幼児期のスポーツ参加は、児童期の実行機能・行動制御・メタ認知の向上と関連するか
Daily Physical Activity, Sports Participation, and Executive Function in Children
背景
幼児期の日常的な身体活動とスポーツへの参加は、後の実行機能(EF)改善と関連するか。
オランダUniversity of GroningenのYangらは、 Groningen Expert Center for Kids with Obesity(GECKO)のDrenthe出生コホートにおける5〜6歳の未就学児と10〜11歳の小学生のデータ(n=880)を用い、未就学児の身体活動および小学生のスポーツへの参加とEFとの関連を分析した。
一次アウトカムはEFで、10〜11歳時点でBehavior Rating Inventory of Executive Function(BRIEF)を使用して評価した。
結論
5〜6歳での中・高強度身体活動(MVPA)は、10〜11歳でのEFと相関しなかった。5〜6歳での低強度身体活動(LPA)が高いほど、10〜11歳時の抑制制御(β=0.86)と自己モニタリング(β=0.79)が劣るのに対し、座位時間が長いほど抑制制御(β=−0.62)と自己モニタリング(β=−0.57)が優れていた。チームスポーツの参加者は、個人スポーツ参加者と比較して、全体的EF(平均差[MD]−3.03)・行動制御(MD −3.39)・メタ認知(MD −2.55)が優れていた。
評価
未就学児にMVPAを勧めても小学校上級でのEFにあまり寄与しない一方、5〜6歳時の座位時間が長いほうが、小学校上級でのEFが良好になる、という意外な関係を見出した。ただし、競技スポーツへの参加はEF改善と関係していることも見出しており、チームスポーツが実行機能の練習場になることが示唆される。他方、個人スポーツでは、体操がEF向上と関連していたという。なお、武道は抑制の低下と関連していたが、例数が少なく、確実でないという。