薬剤耐性結核に予防的レボフロキサシンは有効?:VQUIN MDR
Levofloxacin for the Prevention of Multidrug-Resistant Tuberculosis in Vietnam
背景
多剤耐性結核菌(MDR-TB)感染者との接触者における結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染治療の最適策は。
オーストラリアUniversity of SydneyのFoxら(VQUIN MDR)は、レボフロキサシンの有効性を検証するため、ベトナムで2,041名を対象とする6ヵ月間のRCTを行った(対照:プラセボ)。対象集団は、リファンピシン(RFP)耐性/多剤耐性(MDR)結核患者の家庭内接触者であり、ツベルクリン反応陽性か免疫機能低下接触者を、年齢にかかわらず適格とした。
一次エンドポイントは、30ヵ月以内の細菌学的に確認された結核感染であった。
結論
レボフロキサシンは一次エンドポイントを低減したが(0.6% vs. 1.1%:発症率比 0.5)、統計的有意差はなかった。グレード3/4有害事象に群間差はなかった。全グレードの有害事象は、レボフロキサシン群の31.9%と、プラセボ群の13.0%で報告された(リスク差 18.9パーセントポイント)。フルオロキノロン耐性の獲得はなかった。
評価
レボフロキサシンは、結核の適切な予防治療レジメンとしてWHOが推奨する特性のほとんどを満たしたが、対照群でのイベント数が予想より少なかったため、統計的有意差を確定できなかった。
NEJMは、南アフリカにおけるMDR-TB患者への曝露後予防治療に関する小児を対象としたRCTを併載しており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314318)、著者らは、総合的にはレボフロキサシンレジメンは有効である、と示唆してる。