心肺機能が高いと、5つの認知領域で機能が向上する
Cardiorespiratory fitness is associated with cognitive function in late adulthood: baseline findings from the IGNITE study
背景
高齢者の心肺機能(CRF)と認知機能の関連は。
アメリカAdventHealth Research InstituteのEricksonらは、648名の高齢者(平均年齢69.88歳)を対象に、CRFと認知機能の関連性を評価した。CRFはトレッドミルによる段階的運動テストで測定し、認知機能は2日間の包括的テストで評価した。
結論
テスト中に得られた最大酸素摂取量(VO2max/kg)は、平均21.68 mL/kg/minであった。エピソード記憶・処理速度・作業記憶・実行機能/注意制御・視空間機能からなる5因子モデルを導出した。共変量を制御すると、CRFが高いほど、5つの認知領域すべてでパフォーマンスが良好であった。これらの関連は、年齢とAPOE4保有によって変化しなかった。CRFと認知能力との関係は、女性・低学歴・β遮断薬服用者で、処理速度(性別:β=−0.447、p=0.015、教育:β=−0.863、p=0.018)および実行機能/注意制御(性別:β=−0.417、p=0.022、教育:β=−0.759、p=0.034、β遮断薬の使用: β=0.305、p=0.047)の領域でより大きかった。
評価
有酸素運動が認知機能の衰えや認知症リスクの低下につながることが報告されているが、有酸素運動が具体的に認知機能のどの側面を保護するかを明らかにした研究は、初めてとみられる。著者らは、心肺機能の高さなどの保護因子の存在が、教育年数の少なさ等、他の保護因子の欠如を緩和する可能性がある、としている。