多菌型ハンセン病にベダキリン単独療法が有望
Bedaquiline Monotherapy for Multibacillary Leprosy
背景
ハンセン病の標準的な多剤併用療法は、重篤な副作用を伴う可能性があり、WHOは、より短期間で安全なレジメンが必要としている。
アメリカJanssen Research and DevelopmentのWangらは、ブラジルにおいて、多菌型ハンセン病未治療患者9名を対象に、8週間のベダキリン単独療法の効果を検討する第2相非盲検概念実証研究を行った。8週間のベダキリン単独療法終了後は、参加者はWHOが定義したハンセン病の標準的な多剤併用療法を開始し、112週間追跡した。
一次エンドポイントは、8週間のベダキリン療法後のマウスの足蹠における、らい菌(Mycobacterium leprae)増殖のオッズのベースラインからの変化であった。
結論
らい菌増殖のオッズは、ベースライン時に全患者で100%であったが、ベダキリン単独療法の4週間後にはらい菌が消失(増殖がゼロ)した。治療7週間後までに全患者で皮膚病変の外観が改善した。7名は治療期間中、1件以上の有害事象(すべてグレード1または2)があった。
評価
多菌型ハンセン病の標準治療は、ダプソン・リファンピシン・クロファジミン多剤併用療法で、推奨治療期間は12ヵ月だが、主なネックは、ダプソン関連の副作用と薬剤耐性株の発生である。ベダキリンは、多剤耐性肺結核で長く使用されており、単独での有効性が証明されれば、ハンセン病におけるゲームチェンジャーとなりうる。有力な概念の実証成功であり、本格的大規模検証が期待される。