鍼治療は椎間板ヘルニアによる慢性坐骨神経痛を軽減するか
Acupuncture vs Sham Acupuncture for Chronic Sciatica From Herniated Disk: A Randomized Clinical Trial
背景
鍼治療は椎間板ヘルニアによる慢性坐骨神経痛患者の痛みを軽減し、機能を改善するか。
中国Beijing University of Chinese MedicineのTuらは、216名の患者を4週間10回の鍼治療またはシャム治療に割り当つけ、RCTを行った。
一次アウトカムは、ベースラインから4週目までの脚の痛みの視覚的アナログスケール(VAS-LP)とオスウェストリ障害指数(ODI)の変化であった。
結論
鍼治療群はシャム治療群に比して、VAS-LPの平均減少に統計的有意差がみられた(30.8 mm vs. 14.9 mm、平均差 −16.0)。ODIの結果も同様であった(13.0 vs. 4.9 ポイント、平均差 −8.1)。VASとODIにおいて、群間差は2週目から明らかになり(平均差それぞれ−7.8・−5.3)、52週目まで持続した(−16.3・−4.8)。重篤な有害事象は発生しなかった。
評価
2023年のメタ分析(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36845439/)は、鍼治療が坐骨神経痛患者にとって効果的かつ安全な治療法であり、薬物治療(MT)の適切な代替療法とみなすことが可能としつつ、これまでの研究の異質性が高く、方法論の質が低いため、今後のRCTは適切に設計される必要がある、としていた。この試験は、その有効性の臨床エビデンスを提供するための取り組みで、最小限条件であるシャム治療を対照とし、規模も中規模化した。著者らは、椎間板ヘルニアによる慢性坐骨神経痛には、鍼治療を選択肢として検討する必要がある、と主張している。