遺伝子ノックアウト生熱帯熱マラリア原虫ワクチンによるマラリア予防は有望
Safety and Efficacy of Immunization with a Late-Liver-Stage Attenuated Malaria Parasite

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2024
391
開始ページ
1913

背景

マラリア根絶の進展は鈍化しており、次世代ワクチンが待望されている。
オランダLeiden UniversityのRoestenbergらは、第二世代の遺伝的に弱毒化されたマラリア原虫(GA2)(肝臓期まで進めたmei2シングルノックアウト熱帯熱マラリア原虫[Plasmodium falciparum]NF54[スポロゾイト型])感染蚊の刺咬による予防接種の安全性と有効性を評価するBRCTを行った。
マラリア既往のない19〜35歳の健康な若年成人参加者を、15匹または50匹の感染蚊による刺咬を行うオープンラベル用量漸増安全性フェーズ(ステージA)の後、GA2群9名、早期停止原虫(GA1)群8名、プラセボ群3名に割り付け、接種1回につき50匹の感染蚊による刺咬に割り付けた(ステージB)。1回につき50匹の感染蚊の刺咬による3回の接種終了後、相同な熱帯熱マラリア原虫による制御下のヒトマラリア感染に対するGA2の防御効果を、GA1およびプラセボと比較した。
一次エンドポイントは、GA2感染蚊による刺咬後(ステージA)および制御下のヒトマラリア感染後(ステージB)の有害事象の件数と重症度、100/mLを超える血液期の熱帯熱マラリア原虫数である。

結論

有害事象は群間同等であった。その後の制御下でヒトマラリア感染に対する防御効果は、GA2群89%、GA1群13%、プラセボ群0%であった。
GA2群ではGA1群より、熱帯熱マラリア原虫特異的多機能CD4陽性T細胞およびVδ2陽性γδ T細胞の頻度が有意に高かった。一方、GA2とGA1は熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲タンパクを標的とした同程度の抗体価を誘導した。

評価

現在承認されているマラリアサブユニットワクチンは、予防効果が弱く効果が短期的である。この研究は、遺伝子ノックアウト原虫を使用するワクチンの改良バーション(GA2)の臨床試験であり、安全性と原バーションGA1に対する効果増幅を示した。大規模検証を正当化する重要な一歩だが、実装のためには、感染蚊による刺咬でなく、注射による投与にする必要がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell