アメリカとカナダにおける医薬品不足の差異
Differences in Drug Shortages in the US and Canada
背景
医薬品不足はCOVID-19パンデミック中からの根強い公衆衛生問題で、アメリカとカナダは、医薬品メーカーに対し医薬品不足に関連する可能性のあるサプライチェーン問題に関する報告義務を課している。
カナダUniversity of TorontoのTadrousらは、IQVIA Multinational Integrated Data Analysisの医薬品購入データを使用し、問題報告と医薬品不足との関連、および両国間の差異について評価した。
一次アウトカムは、サプライチェーン問題の報告前の6ヵ月の平均購入単位と比較した、12ヵ月以内の医薬品不足(毎月の薬剤購入単位が33%以上減少することと定義)である。
結論
両国で報告された医薬品不足関連のサプライチェーン問題報告104件のうち、アメリカでは49%が医薬品自体の不足に関連していたのに対し、カナダでは、それは34%であった(aHR 0.53)。カナダの医薬品不足リスクがアメリカより低いことは、COVID-19のパンデミック前(0.47)とパンデミック後(0.31)で一貫していた。両国のサプライチェーン問題報告を統合すると、単一供給者による医薬は不足リスクが2倍(2.58)で、カナダtier 3医薬の不足リスクはほぼ1/2(0.56)であった。
評価
サプライチェーン問題報告のほとんどは、製造/出荷問題だったが、アメリカの報告は4分の1で理由が明示されていなかった。両国とも報告の95%をジェネリック医薬品が占め、5分の1を単一供給者薬が占めていたが、投与法、FDA承認からの経過時間、医薬品価格は、医薬品不足と関連していなかった、という。両国の差の原因の一つは、カナダでは医薬品備蓄を日常的医薬品不足の解決に活用している一方、アメリカの備蓄は、テロ・災害等緊急事態に備えたものであることである。