セマグルチドは肥満変形性膝関節症患者の痛みを軽減する:STEP 9
Once-Weekly Semaglutide in Persons with Obesity and Knee Osteoarthritis
背景
変形性膝関節症(OA)の症状軽減には、減量により見込まれる効果が大きいが、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドの効果は。
デンマークBliddalら(STEP 9)は、BMI 30以上で、中等度以上の疼痛を伴う中等度OA患者407名を対象に、これを検証する68週の多国籍RCTを実施した。身体活動と低カロリー食に関するカウンセリングに加え、セマグルチドまたはプラセボを週1回皮下投与した。
一次アウトカムは、ベースラインから68週目までの体重の変化と、Western Ontario・McMaster大学変形性関節症指数(WOMAC)の疼痛スコアの変化である。
結論
セマグルチドの一次アウトカム効果を認めた。体重変化は、セマグルチド群−13.7%、プラセボ群−3.2%で、WOMACスコア変化は、セマグルチド群−41.7ポイント、プラセボ群−27.5ポイントであった。
セマグルチド群はプラセボ群と比較して、SF-36身体機能スコアで、より大きな改善がみられた。重篤有害事象の発生率は両群同等で、試験レジメン永久中止にいたった有害事象は、セマグルチド群6.7%、プラセボ群3.0%に発生し、中止の最も一般的な理由は胃腸障害であった。
評価
2型糖尿病・膝関節症併発患者を対象とした大規模観察研究の結果と一致し(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37258065/)、同薬のこの適応を支持した。GLP-1RAの抗炎症効果は、同薬が肥満のないOA患者にも効果がある可能性を示唆しており、炎症による関節構造の進行的劣化の防止効果の確認とともに、重要な検討課題となった。