重度変形性股関節症にはレジスタンストレーニングより人工股関節全置換術:PROHIP
Total Hip Replacement or Resistance Training for Severe Hip Osteoarthritis
背景
重度変形性股関節症に対する人工股関節全置換術(THR)が行われているが、外科的治療と非外科的治療の有効性を直接比較したRCTは少ない。
デンマークVejle HospitalのFrydendalら(PROHIP)は、重度変形性股関節症で手術適応がある50歳以上の患者109名を、THRまたは筋肉に負荷をかけるレジスタンストレーニング(RTG)に割りつけるRCTを行った。
一次アウトカムは、ベースラインから6ヵ月までの患者報告による股関節痛および機能の変化で、Oxford Hip Score(OHS)を用いて評価した。
結論
ITT解析において、THRのRTGに対する一次アウトカム優位を認めた(OHS: THR15.9ポイント vs. RTG4.5ポイント)。THR群の9%は6ヵ月時点で手術を受けておらず、RTG群の21%は6ヵ月時点でTHRを受けていた。6ヵ月時点での重篤有害事象の発生率は両群同等で、ほとんどの事象はTHRの既知の合併症であった。
評価
すでに多数の研究が行われているが、最新のメタアナリシスは、「将来の上質RCTが待たれる」としていた(https://www.jospt.org/doi/10.2519/jospt.2022.11075)。著者らは研究の質を自負しており、THRの有効性を確認して現行の推奨を支持する結果となった。ただし、著者らは、初期治療においてRTGを行うことに反対しておらず、またTHRを受ける患者に対する過去の研究では、RTGを受けた患者は受けなかった患者より、術後の回復が早いことが示されている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35911376/)。
RTGについては、研究間で方法論が大きく異なるため、最適な負荷方策は不祥である。