史上最大のオピオイド過剰摂取死低減のためのコミュニティ介入試験が失敗:HEALing
Community-Based Cluster-Randomized Trial to Reduce Opioid Overdose Deaths

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
September 2024
391
開始ページ
989

背景

アメリカの薬物過剰摂取による死者数は現在年間10万人以上で、その75%以上がオピオイドによるとされている。オピオイド過剰摂取の予防・改善のため、多くのエビデンスに基づく実践が試みられている。
HEALing Communities Study Consortiumは、これらの実践を取り入れた地域コミュニティ参加型介入(Communities That HEAL[CTH]介入)の有効性を検証する地域レベルのクラスターRCTを行った。ケンタッキー州・マサチューセッツ州・ニューヨーク州・オハイオ州の67地域をCTH群と待機群(対照)に割り付けた。
一次アウトカムは、地域成人におけるオピオイド関連過量服用死亡数である。

結論

CTH群地域では、地域が選択した806の実践中615が実行された。CTH介入の一次アウトカム効果を認めなかった。州別・都市部/農村部別・年齢・性別・人種/民族集団別による差異もなかった。

評価

HEALing Communities Studyは2019年に開始された、史上最大の依存症予防・治療研究である。実践は、Opioid-Overdose Reduction Continuum of Care Approach(https://hcs.rti.org/guide.html?page=orcca)に基づき、過剰摂取に関する教育、ナロキソン配布、オピオイド使用障害治療のための薬剤の使用、安全なオピオイドの処方と調剤に重点おかれ、CTH介入には、偏見を減らし、エビデンスに基づく実践の需要を高めるための一連のコミュニケーションキャンペーンが含まれていた。$4millionを費やした試験だったが、失敗した。著者らは、試験失敗の原因として、COVID-19パンデミックとフェンタニルの蔓延を上げており、期間中に発生した、フェンタニルにキシラジンを組み合わせた、いわゆる「ゾンビドラッグ」の使用増加も重要な要因となったとしているが、もはやこの問題は公衆衛生の問題ではない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell