HIV感染患者へのHIV感染ドナーからの腎移植の安全性を確認:HOPE in Action
Safety of Kidney Transplantation from Donors with HIV
背景
アメリカでは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染ドナーからHIV感染レシピエントへの腎移植が、HOPE法のもと、実験的に行われてきた。
アメリカJohns Hopkins School of MedicineのDurandら(HOPE in Action)は、2018〜2021年に全米26施設で行われたHIV感染者への198件の腎移植の結果を分析し、HIV感染死亡ドナーからHIV感染レシピエントへの腎移植(99件)と、HIV非感染死亡ドナーからHIV感染レシピエントへの腎移植(99件)と比較した。
一次アウトカムは、安全性イベント(全死因死亡・移植腎喪失・重篤有害事象・HIVブレイクスルー感染・HIV治療の持続的失敗・日和見感染の複合)で、非劣性を評価した。
結論
HIV感染死亡ドナーからの移植の、非感染死亡ドナーからの移植に対する一次アウトカム非劣性を認めた(HR 1.00)。ほぼ全ての安全性イベントリスクが同等で、手術合併症・癌発生率等も両群同等だったが、HIVブレイクスルー感染の発生率は、HIV感染者からの移植のほうが高かった(発生率比 3.14)。この群では、1名にHIV重複感染の可能性があった。HIV治療の持続的失敗はなかった。
評価
2016年に始まり、8年目となった研究結果を報告し、この手法の正当性を確認したランドマーク分析である。腎移植を必要とするHIV感染者に対する一つのスタンダードとして確立されることになる。