乳幼児RSウイルス感染症にziresovir登場:AIRFLO
Ziresovir in Hospitalized Infants with Respiratory Syncytial Virus Infection
背景
乳幼児におけるRSウイルス(RSV)感染症は未だ重要な問題である。
中国Shanghai Ark BiopharmaceuticalのWuら(AIRFLO)らは、RSV感染症で入院した生後1~24ヵ月の参加者をziresovirの1日2回5日間投与またはプラセボに割り付ける第3相RCTを行った。一次エンドポイントは、Wang細気管支炎臨床スコアのベースラインから3日目まで(初回投与の48時間後)の変化である。
結論
Ziresovirの一次エンドポイント効果を認めた(-3.4 vs. -2.7ポイント)。5日目のRSVウイルス量の減少も実薬群がプラセボ群より大きかった(-2.5 vs. -1.9 log10 コピー/mL)。ベースライン細気管支炎スコアが8以上の患者や生後6ヵ月以下の患者等のサブグループにおいても、スコアの改善がみられた。有害事象の発生率に群間差はなく、高頻度であったのは下痢(4% vs. 2%)・肝酵素値上昇(3% vs. 3%)・皮疹(2% vs. 1%)であった。ziresovir群の9%に耐性関連変異が同定された。
評価
中国Shanghai Ark Biopharmaceuticalの創薬である。乳幼児RSV感染症には、妊婦に投与する二価RSVpreFワクチンと、RSV流行期に基礎疾患のない乳幼児に投与する抗RSV抗体薬ニルセビマブが昨年FDA承認されている。抗RSV薬としてはribavirinがFDA承認されているが、催奇形性問題により、日本では承認されていない。AIRFLOはNIH登録試験だが、著者らは、中国でのこの結果を確認する国際的第3相試験を呼びかけている。