乳幼児RSウイルス感染症にziresovir登場:AIRFLO
Ziresovir in Hospitalized Infants with Respiratory Syncytial Virus Infection

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
September 2024
391
開始ページ
1096

背景

乳幼児におけるRSウイルス(RSV)感染症は未だ重要な問題である。
中国Shanghai Ark BiopharmaceuticalのWuら(AIRFLO)らは、RSV感染症で入院した生後1~24ヵ月の参加者をziresovirの1日2回5日間投与またはプラセボに割り付ける第3相RCTを行った。一次エンドポイントは、Wang細気管支炎臨床スコアのベースラインから3日目まで(初回投与の48時間後)の変化である。

結論

Ziresovirの一次エンドポイント効果を認めた(-3.4 vs. -2.7ポイント)。5日目のRSVウイルス量の減少も実薬群がプラセボ群より大きかった(-2.5 vs. -1.9 log10 コピー/mL)。ベースライン細気管支炎スコアが8以上の患者や生後6ヵ月以下の患者等のサブグループにおいても、スコアの改善がみられた。有害事象の発生率に群間差はなく、高頻度であったのは下痢(4% vs. 2%)・肝酵素値上昇(3% vs. 3%)・皮疹(2% vs. 1%)であった。ziresovir群の9%に耐性関連変異が同定された。

評価

中国Shanghai Ark Biopharmaceuticalの創薬である。乳幼児RSV感染症には、妊婦に投与する二価RSVpreFワクチンと、RSV流行期に基礎疾患のない乳幼児に投与する抗RSV抗体薬ニルセビマブが昨年FDA承認されている。抗RSV薬としてはribavirinがFDA承認されているが、催奇形性問題により、日本では承認されていない。AIRFLOはNIH登録試験だが、著者らは、中国でのこの結果を確認する国際的第3相試験を呼びかけている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell