潰瘍性大腸炎に抗TL1A モノクローナル抗体tulisokibartが有望:ARTEMIS-UC
Phase 2 Trial of Anti-TL1A Monoclonal Antibody Tulisokibart for Ulcerative Colitis
背景
中等〜重症の活動性潰瘍性大腸炎(UC)患者に対する抗腫瘍壊死因子様サイトカイン1A(TL1A)モノクローナル抗体tulisokibartの有効性・安全性は。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのSandsら(ARTEMIS-UC)は、グルココルチコイド依存性か、または他治療不奏効のUC患者を対象として、これを検証する第2相RCTを行った(対照:プラセボ)。12週の試験には2つのコホートが参加し、コホート1には135名を反応可能性検査に関する結果にかかわらず組み入れ、コホート2には43名の反応可能性検査陽性患者のみを組み入れ、さらに32名の患者をコホート1から統合した。
一次解析はコホート1を対象に行い、一次エンドポイントは12週時点の臨床的寛解である。
結論
コホート1において一次エンドポイントを達成した患者は、tulisokibart群の26%に対し、プラセボ群は1.5%であった。
コホート2では、治療反応可能性検査が陽性であった患者(コホート1・2の統合)で、一次エンドポイントを達成した患者は、tulisokibart群32%に対し、プラセボ群11%であった。
有害事象の発現率は両群同等で、大部分は軽〜中等度であった。
評価
UCに対する抗体薬はすでに多く、2023にはmurikizumabが登場しているが、決め手は未だない。腫瘍壊死因子としてのTL1Aの役割は、著者らによって発見されたもので、20年にわたる研究で、IBDにおける炎症・線維化へのその関与が確認されている。ここでの有望結果を踏まえ、第3相試験では、12週間以上のtulisokibart投与の安全性と有効性が検証される。