血友病Bに対するfidanacogene elaparvovecによる遺伝子治療第3相が成功:BENEGENE-2
Gene Therapy with Fidanacogene Elaparvovec in Adults with Hemophilia B
背景
Fidanacogene elaparvovec(FE)は、FIX R338Lバリアントを発現する遺伝子組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで、第1〜2a相試験で血友病B患者への有益性が示されている。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのCukerら(BENEGENE-2)は、血友病Bで第IX因子活性が2%以下の18〜65歳男性を対象に、その5×1011ベクターゲノムコピー/kg体重の投与が、定期補充療法に対して非劣性・優越性を示すかどうかを検証する第3相RCTを実施した。非劣性の一次エンドポイントは、FE治療後12週〜15ヵ月の年間出血率で、定期補充療法を受けていた導入期と比較した。
結論
316名がリードイン試験スクリーニングを受け、64.6%は不適格(59.5%が抗AAV中和抗体の存在による)であった。FE遺伝子治療の定期補充療法への非劣性・優越性を認めた。一次エンドポイントは、ベースラインの4.42から遺伝子治療後の1.28へと71%減少した。第IX因子活性の平均は15ヵ月で26.9%であった。28名(62%)がアミノトランスフェラーゼ レベルの上昇または第IX因子活性低下のためにグルココルチコイドを投与された。
投与に関連する重篤有害事象、血栓イベント、第IX因子インヒビターの発生、悪性疾患はなかった。
評価
Pfizerのこの遺伝子治療はすでに今年初めにFDA承認され、日本でも6月に承認申請されている。この第3相試験は、前相試験での最低用量で有効であることを確認した。ほとんどの患者が、単一回の治療しか必要でなかった、という。長期結果が注目されるが、コストは大きな問題であり続ける。