一般的経口抗菌薬と皮膚有害反応:最大規模調査
Oral Antibiotics and Risk of Serious Cutaneous Adverse Drug Reactions
背景
一般的に処方される経口抗菌薬と、その後の重篤な皮膚有害反応(cADR)発現との関連は。
カナダUniversity of TorontoのLeeらは、2002〜2022年の同国オンタリオ州の行政医療データを使用し、抗菌薬関連cADR症例群(n=21,758)と非cADR対照群(n=87,025)を比較するケース・コントロール研究を行った。
結論
一般的に処方される経口抗菌薬、特にスルホンアミド(aOR=2.9)・セファロスポリン(2.6)・ニトロフラントイン(2.2)・ペニシリン(1.4)・フルオロキノロン(1.3)は、マクロライドと比較して、重篤cADR・入院・死亡リスクが有意に高かった。
評価
高齢者のポリファーマシー等に関連する重要なテーマで、最近のレビューもあるが(https://bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/bcp.15490)、経口薬に特化した調査としては、最大規模のものである。
重篤cADRの代表例は、中毒性表皮壊死症(TEN)とスティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)で、ここでの調査集団では、SJS・TENと明確に特定されたのは1.8%であった、という。また、院内死亡率は全重篤cADRでは低かった(5.3%)が、SJS・TENサブタイプでは顕著に高かった(20.0%)。