非アスリートのスポーツ関連脳震盪の認知機能への影響は「長期的には心配ない」:PROTECT-TBI
Sports-related concussion not associated with long-term cognitive or behavioural deficits: the PROTECT-TBI study
背景
スポーツ関連脳震盪(SRC)の認知機能への影響が議論になっているが、アマチュアスポーツでは。
イギリスUniversity of OxfordのRaymontらは、同国の50〜90歳を対象とした認知機能に関する縦断研究PROTECTのデータを分析した(n=15,214)。2015〜2020年に実施され、最大4年間の年次追跡調査が行われた。
参加者を脳震盪の種類(脳震盪なし、SRCのみ、非SRCのみ[nSRC]、混合脳震盪[SRCとnSRCの両方])ごとに分け、さらに、0、1、2、3回以上のSRCと、0、1、2、3回以上のnSRCごとに分けて認知機能を比較した。/p>
結論
SRC群は脳震盪なし群と比較して、作業記憶(B=0.113)・言語的推論(B=0.199)が有意に優れていた。SRC1回群は、nSRC群と比較して、言語的推論(B=0.111)と注意力(B=0.115)が有意に優れていた。nSRC3回以上群は、処理速度(B=−0.082)と注意力(B=−0.156)が有意に低下し、加齢とともに言語的推論能力が有意に低下していた。
評価
SRCに関する他の多くの研究は、頭部外傷直後の若いアスリートに焦点を当てているが、この研究は、何年も前にSRCを経験した非アスリートの中高年者を対象としたものである。SRC経験者が、非経験者に対し、むしろ認知的に優れている局面がある、という面白い結果を示し、「頻回でなければ、長期的にはあまり心配はない」というアドバイスのエビデンスを提供した。
高校でアマチュアのアメリカンフットボールをプレーしていた平均年齢64.4歳の男性3,904名を対象とした研究(https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2635831)では、元アマチュアフットボール選手は認知障害がなく、対照群と比較して、うつ病スコアが良好であることを示唆している。