心臓手術後のAKIリスク軽減にアミノ酸点滴:PROTECTION試験
A Randomized Trial of Intravenous Amino Acids for Kidney Protection

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2024
391
開始ページ
687

背景

心臓手術後の急性腎障害(AKI)発生抑制のためにアミノ酸静脈内投与が有効である、と提唱されている。
イタリアIRCCS San Raffaele Scientific InstituteのLandoniら(PROTECTION)は、3ヵ国22施設において、人工心肺による心臓手術を受ける成人患者3,511名を対象として、これを検証するRCTを行った(対照:リンゲル液)。調整アミノ酸混合液(2 g/kg理想体重/日)を最長3日間点滴静注した。
一次アウトカムは、AKI発症(KDIGOクレアチニン基準)である。

結論

一次アウトカムにおいて、アミノ酸輸液の一次アウトカム効果を認めた(26.9% vs. 31.7%、相対リスク 0.85)。二次アウトカムのAKIステージ3は、それぞれ1.6% vs. 3.0%であり(相対リスク 0.56)、腎代替療法はアミノ酸群の1.4%とプラセボ群1.9%で行われた。30日全死因死亡率等、その他の二次アウトカムに群間差はなかった。

評価

この問題に関しては、今年日本から肯定的臨床試験結果が出ているが(https://jaclinicalreports.springeropen.com/articles/10.1186/s40981-024-00703-6)、規模が小さく、対照群のAKI率が高かった。後続したこの国際試験は大規模で、日本結果とあいまってアミノ酸静注の効果を納得的とした。世界で年間200万人以上の患者にインパクトを与える結果であり、さらなる検証によりガイドライン化される可能性がある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell