心臓手術後のAKIリスク軽減にアミノ酸点滴:PROTECTION試験
A Randomized Trial of Intravenous Amino Acids for Kidney Protection
背景
心臓手術後の急性腎障害(AKI)発生抑制のためにアミノ酸静脈内投与が有効である、と提唱されている。
イタリアIRCCS San Raffaele Scientific InstituteのLandoniら(PROTECTION)は、3ヵ国22施設において、人工心肺による心臓手術を受ける成人患者3,511名を対象として、これを検証するRCTを行った(対照:リンゲル液)。調整アミノ酸混合液(2 g/kg理想体重/日)を最長3日間点滴静注した。
一次アウトカムは、AKI発症(KDIGOクレアチニン基準)である。
結論
一次アウトカムにおいて、アミノ酸輸液の一次アウトカム効果を認めた(26.9% vs. 31.7%、相対リスク 0.85)。二次アウトカムのAKIステージ3は、それぞれ1.6% vs. 3.0%であり(相対リスク 0.56)、腎代替療法はアミノ酸群の1.4%とプラセボ群1.9%で行われた。30日全死因死亡率等、その他の二次アウトカムに群間差はなかった。
評価
この問題に関しては、今年日本から肯定的臨床試験結果が出ているが(https://jaclinicalreports.springeropen.com/articles/10.1186/s40981-024-00703-6)、規模が小さく、対照群のAKI率が高かった。後続したこの国際試験は大規模で、日本結果とあいまってアミノ酸静注の効果を納得的とした。世界で年間200万人以上の患者にインパクトを与える結果であり、さらなる検証によりガイドライン化される可能性がある。