MASHへのチルゼパチド、第3相へ:SYNERGY-NASH
Tirzepatide for Metabolic Dysfunction?Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2024
391
開始ページ
299

背景

代謝障害関連脂肪肝炎(MASH)へのGLP-1受容体作動薬の応用が有望視されているが、セマグルチドの有効性は限定的であった。
アメリカUniversity of CaliforniaのLoombaら(SYNERGY-NASH)は、MASHと生検診断された肝線維化ステージF2/F3患者190名を対象として、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの有効性・安全性を検証する第2相RCTを行った(対照: プラセボ, 52週)。
一次アウトカムは、52週時の肝線維化の進行を伴わないMASH消失である。

結論

一次アウトカム基準を満たした参加者の割合は、プラセボ群とチルゼパチド群(5 mg/10 mg/15 mg)で各10%、44%、56%、62%であった。
二次アウトカム(MASHの増悪を伴わない肝線維化ステージの1以上の改善)でもチルゼパチドの有効性を認めた。実薬群での最頻有害事象は、消化器系イベントで、軽度〜中等度であった。

評価

二重作動薬によりセマグルチドの効果の限定性を超える、という仮説の有望性を示す結果である。MASH治療のためには減量より長期間の治療が必要とみられ、規模はもとより、期間も長期に設定した第3相試験が要求されることになる。この方面は探索が活発であり、NEJMは、肝線維化ステージF1〜F3の成人MASH患者に対するスルボデュチドの有効性・安全性を検証した第2相RCT結果も併載している(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2401755)。

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取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell