腎移植後の抗体関連型拒絶反応にCD38モノクローナル抗体felzartamabが有望:第2相RCT
A Randomized Phase 2 Trial of Felzartamab in Antibody-Mediated Rejection
背景
抗体関連型拒絶反応(AMR)は腎移植における根本問題だが、未だ決め手がない。
オーストリアMedical University of ViennaのBohmigらは、腎移植後180日以上経過後にAMRと診断された22名の患者に対するCD38モノクローナル抗体felzartamabの効果・安全性を検証する第2相RCTを行った(対照:プラセボ, 移植から試験組入れまでの期間中央値9年, 試験期間6ヵ月)。一次アウトカムは、felzartamabの安全性と副作用プロファイルである。
結論
Felzartamab群の8名に軽度〜中等度の注入反応が発現した。重篤有害事象は、実薬群の1名とプラセボ群の4名に発現した。プラセボ群の1名が移植腎喪失した。
24週時で、形態学的AMR消失の割合は、felzartamab群がより高かった(82% vs. 20%、リスク比 0.23)。微小血管炎症スコア中央値は、felzartamab群がより低かった(0 vs. 2.5)。AMRの確率を反映する分子スコア(0.17 vs. 0.77)と、ドナー由来遊離DNAレベル(0.31% vs. 0.82%)も実薬群が低かった。52週時点でfelzartamabが奏効した9名中3名でAMRの再発が報告され、分子活性とバイオマーカーレベルはベースライン値に近く上昇した。
評価
同薬はMorphoSys AGの創薬で、多発性骨髄腫の免疫療法としての検証も進んでいる。現在はBiogen Inc.が買収しており、第3相試験に進むことになる。NEJM Editorialは、“Hope at Last”と期待を示しつつ、AMRの病態形成の複雑さから、究極的には複合アプローチが必要となることを示唆している。