中等〜重症クローン病へのリサンキズマブ、ウステキヌマブに対し対決試験で優位:SEQUENCE試験
Risankizumab versus Ustekinumab for Moderate-to-Severe Crohn’s Disease
背景
リサンキズマブ(IL-23p19阻害薬)とウステキヌマブ(IL-12p40阻害薬)は、ともにクローン病への使用が承認されているが、両薬の有効性・安全性の直接比較は行われていない。
フランスINFINY InstituteのPeyrin-Birouletら(SEQUENCE)は、抗-腫瘍壊死因子(TNF)療法が十分奏効しなかったか、許容できない副作用があった中等〜重度のクローン病患者520名を対象として、48週間リサンキズマブまたはウステキヌマブ(標準用量)を投与する群に割り付ける第3b相非盲検RCTを実施した。
一次エンドポイントは、1)24週時点の臨床的寛解(CDAI)、2)48週時点の内視鏡的寛解(クローン病簡易内視鏡スコア[SES-CD])で、患者の100%を対象に優越性を解析した。
結論
リサンキズマブ群・ウステキヌマブ群の各90.2%・72.8%が、全治療を完了した。両一次エンドポイントが達成された。リサンキズマブはウステキヌマブに対し、24週時点の臨床的寛解に関して非劣性(58.6% vs. 39.5%)を、48週時点の内視鏡的寛解に関して優越性(31.8% vs. 16.2%)を示した。有害事象発生率に群間差はなかった。
評価
IL-23とIL-12は多くの特性を共有しており、それぞれの阻害薬リサンキズマブとウステキヌマブの作用に関しては様々な仮説があった。両薬の効果の直接比較は、一方が他方に優る、という最も単純な仮説を検証したもので、リサンキズマブの優越という結論は、中等〜重度の尋常性乾癬患者を対象とした直接比較試験結果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28423301/)とも一致する。しかし、両薬の比較には、単純比較だけでなく、病期や患者サブグループといった別の角度も必要であり、ここでの結果は、リサンキズマブが優る、という結論には直結しない。