ニルセビマブの乳児RSV細気管支炎に対する有益性は明らか:ENVIE研究
Nirsevimab and Hospitalization for RSV Bronchiolitis
背景
乳児のRSウイルス(RSV)関連細気管支炎に対する抗RSVヒトモノクローナル抗体ニルセビマブの有効性は。
フランスRobert Debre University HospitalのOuldaliら(ENVIE)は、これを検証する前向多施設共同症例対照マッチング研究を実施した(n=1,035)。症例患者はRSV関連細気管支炎で入院した生後12カ月未満の乳児690名で、対照患者はRSV感染とは無関係の症状で診察を受けた乳児345名であった。
一次アウトカムは、RSV関連細気管支炎による入院に対するニルセビマブ療法の有効率である。
結論
症例患者60名と対照患者97名が過去にニルセビマブ投与を受けていた。RSV関連細気管支炎による入院に対するニルセビマブ療法の有効率は83.0%であった。ニルセビマブ療法の有効率は、集中治療を必要とするRSV関連細気管支炎に対しては69.6%、換気補助を必要としたRSV関連細気管支炎に対しては67.2%であった(症例 14.3% vs. 対照 30.5%)。救命治療にいたったRSV関連細気管支炎に対するニルセビマブ療法の有効率は69.6%、補助換気にいたったRSV関連細気管支炎に対する有効率は67.2%であった。
評価
ニルセビマブはRSVに対する長期間作用型ヒトIgG1モノクローナル抗体で、MELODY等の結果に基づき2023年にFDA承認され、日本でも2024年より使用可能となっている。リアルワールド研究により、高齢者とともに最も重要な対象集団である乳児に対する有益性が確認された。