遺伝性血管性浮腫に新規ASO薬donidalorsen登場:OASIS-HAE
Efficacy and Safety of Donidalorsen for Hereditary Angioedema
背景
遺伝性血管性浮腫(HAE)に新しいアプローチが試みられている。
オランダUniversity of AmsterdamのCohnら(OASIS-HAE)は、HAE患者90名を対象に、肝におけるプレカリクレインmRNAを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチド薬donidalorsenの予防的投薬の効果・安全性を検証する第3相RCTを実施した(対照:プラセボ, 4週または8週毎皮下注)。一次アウトカムは、1〜25週目におけるHAE発作の4週あたり発生率である。
結論
Donidalorsenの一次アウトカム効果を認めた。時間標準化発作発生率平均値は、4週間隔群・8週間隔群・プラセボ群でそれぞれ各0.44・1.02・2.26であった。1週目から25週目までの平均発作発生率は、4週間隔群・8週間隔群でプラセボ群より各81%・55%低かった。実薬(4週間毎)群では、血管性浮腫QOL質問票(AE-QoL)における25週目の総スコアもプラセボと比べ、18.6ポイント改善した。高頻度の有害事象は、注射部位反応・頭痛・鼻咽頭炎で、98%は重症でなかった。
評価
Ionis Pharmaceuticalsの創薬で、KalVista Pharmaceuticalsによるsebetralstatの第3相KONFIDENT結果とともにNEJMに併載された。後者はオンデマンド経口使用(血漿カリクレイン阻害低分子薬)、前者は毎月/隔月の予防的皮下注使用(肝におけるプレカリクレイン生成阻害ASO薬)と、両薬は棲み分けが可能である。ただし、いずれも既存薬を置換しうるか、または補完するに留まるかは不明である。