新規外科的介入と主動作筋-拮抗筋神経系インターフェースにより、膝下切断患者の自然な歩行が回復
Continuous neural control of a bionic limb restores biomimetic gait after amputation
背景
義肢への神経筋インターフェースの埋め込みは、重要な課題である。
アメリカMassachusetts Institute of TechnologyのHerrらは、残存する主動作筋と拮抗筋を外科的に連結し、切断された残存組織内で主動作筋‐拮抗筋の運動を再現する主動作筋-拮抗筋神経系インターフェース(Agonist-antagonist Myoneural Interface: AMI)の開発を報告している。
AMI型または従来型の膝下切断手術(非AMI)を受けた患者14名が同じタイプのバイオニック義肢を使用し、動作を比較評価した。健常肢の動作とも比較した。
結論
AMIは非AMIと比較して、主動作筋-拮抗筋求心性シグナル伝達を増強することが示され、AMI群は非AMI群より歩行速度・障害物回避・階段昇段が改善した。AMI群患者は、健常肢に匹敵する歩行速度と蹴り出し動作を達成した。
評価
下腿切断患者におけるAMI手術による神経義肢の制御強化の有効性を評価する進行中の臨床試験(NCT03913273)の初期報告で、神経調節を受けた義肢で生肢模倣歩行が実行できることを示す初の研究である。外科的介入とAMIにより残存肢の筋肉が再接続され、患者は義肢の位置に関する固有受容フィードバックを感知することができるという。AMIによって提供される感覚フィードバックの量は、健常肢での20%未満であったにもかかわらず、義肢は健常肢と協調して自然な歩行が可能となったという(https://youtu.be/fKdnu50Nx-8?si=G7FVQN4y4y6WabMs)