外傷・障害予防プログラムFIFA 11+で、男子大学サッカー選手のハムストリング損傷を減らす
The 11+ injury prevention programme decreases rate of hamstring strain injuries in male collegiate soccer players
背景
国際サッカー連盟(FIFA)が推奨する外傷・障害予防プログラム(FIFA 11+)は、サッカー選手の負傷率と回復時間を減らすことが示されている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25415209/)が、ハムストリングス肉離れ(HSI)への影響は。
アメリカVelocity Physical Therapy IncのSilvers-Granelliらは、2012年秋季シーズンのNCAAディビジョンI・IIの男子サッカー65チームを対象に、FIFA 11+がHSIのリスクを減らし、回復時間を改善するかどうか、プログラムの遵守がHSIリスクに影響を与えるかどうか、を検証するRCTを行った(対照:従来のウォームアップ)。
結論
FIFA 11+実施群は、対照群と比較してHSIリスクが63%減少した(RR 0.37)。HSI後の復帰までの期間に有意差はなかった。高コンプライアンス(平均で週2回以上)は、低コンプライアンス(平均で週1回未満)と比較してHSIリスクを78%減少させ(RR 0.22)、中等度コンプライアンス(平均で週1回から2回未満)は、低コンプライアンスと比較してHSIリスクを67%減少させた(RR 0.33)。高コンプライアンスと中等度コンプライアンスの間に有意差はなかった。
評価
FIFA 11+は3パートで構成され、ランニングエクササイズ、筋力・プライオメトリクス・バランス、ランニングエクササイズの順序で、約20分で行うことができる(紹介動画:https://youtu.be/nl8_XgdcCuI?si=JLt-yB5oq98cVjJR)。
FIFA 11+によりHSIのリスクは63%減少したが、回復時間は改善しなかった。中等度以上のコンプライアンスが不可欠である。