好酸球性食道炎にベンラリズマブは効くか:MESSINA
Eosinophil Depletion with Benralizumab for Eosinophilic Esophagitis
背景
抗IL-5受容体αモノクローナル抗体薬ベンラリズマブは、好酸球性食道炎に使えるか。
アメリカCincinnati Children’s Hospital Medical CenterのRothenbergら(MESSINA)は、12〜65歳の症状を伴い組織学的活動性の好酸球性食道炎患者211名を対象として、これを検証する第3相RCTを行った(対照:プラセボ, 24週)。一次有効性エンドポイントは、24週時点での組織学的奏効(好酸球が高倍率視野あたり6個以下)と嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアのベースラインからの変化である。
結論
24週時点での組織学的奏効率で、ベンラリズマブはプラセボに優った(差 80.8パーセントポイント)。しかし、DSQスコアのベースラインからの変化に群間有意差はなかった。好酸球性食道炎内視鏡基準スコア(EoE-EREFS)のベースラインからの変化にも群間差はなかった。有害事象は、実薬群の64.1%、プラセボ群の61.7%で報告された。
評価
1〜11歳の好酸球性食道炎患者に対するデュピルマブの効果を検証したEoE KID結果と同時にNEJMに掲載された。同試験の全般的ポジティブ結果と比べ、このMESSINA結果は、組織学的に有効だが、臨床的には無益、という困惑的なものとなった。著者らは、「この試験は、好酸球性炎症の程度のみに基づいて治療効果を観察することの臨床的妥当性に疑問を投げかける」と書いているが、同薬の適応拡張がFDA承認されるかどうかは不透明である。