小児好酸球性食道炎にデュピルマブ:EoE KID
Dupilumab for Eosinophilic Esophagitis in Patients 1 to 11 Years of Age

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2024
390
開始ページ
2239

背景

デュピルマブ(インターロイキン-4経路とインターロイキン-13経路を阻害するヒトモノクローナル抗体薬)は、成人および思春期児の2型炎症性のアトピー性5疾患に対し有効性が示されている。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのChehadeら(EoE KID)は、プロトンポンプ阻害薬無効の1〜11歳の活動性好酸球性食道炎患者102名を対象として、デュピルマブ効果・安全性を検証する国際第3相RCTを行った。パートAでは患児を、皮下投与を高曝露レジメンで16週間行う群、低曝露レジメンで16週間行う群、それぞれのマッチさせたプラセボを投与する群(2群)に、割り付けたEoE KID。パートBでは、パートA終了時に適格であった患児に、各デュピルマブ群では同じレジメンでデュピルマブを36週間継続し、プラセボ群では、パートAと同レジメンでデュピルマブを36週間投与した。一次エンドポイントは、16週時点での組織学的寛解である。

結論

パートAでは、高曝露群・低曝露群ともに一次エンドポイント効果を認めた(高曝露群でのプラセボとの差:65パーセントポイント, 低曝露群でのプラセボとの差:55パーセントポイント)。高曝露群では、組織学的指標・内視鏡的指標・トランスクリプトーム関連指標の改善も認めた。パートAの実薬群では、COVID19・悪心・注射部痛・頭痛の発現率が10パーセントポイント以上高かった。重篤有害事象は、パートA期間中は実薬群で3名に、B期間中は実薬群の6名で報告された。

評価

小児好酸球性食道炎にはFDA承認薬がなかったが、デュピルマブはすでに成人・青年で使用承認されており、小児使用も承認は確実とみられる。NEJMは成人患者に対するベンラリズマブの効果を検証したMESSINAの結果も併載しており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa23133)、好酸球性食道炎は好酸球に対する病因論的治療が可能な段階に入ってきた。ただし著者らは、本格治療のためには好酸球レベルを超えるバイオマーカーが必要、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell