「不定愁訴」(PPS)患者にGPがコミュニケーション強化モデルで対応する:Multiple Symptoms Study 3
Effectiveness of a symptom-clinic intervention delivered by general practitioners with an extended role for people with multiple and persistent physical symptoms in England: the Multiple Symptoms Study 3 pragmatic, multicentre, parallel-group, individually randomised controlled trial
背景
「不定愁訴」などと呼ばれてきた持続性身体症状(persistent physical symptoms:PPS)に対し、「コミュニケーション強化モデル」による対応が提唱されている。
イギリスUniversity of SheffieldのBurtonら(Multiple Symptoms Study 3[MSS3])は、イングランドの一般診療所108施設において、英総合医(GP)によるコミュニケーション強化モデル対応のPPSへの有効性を評価するRCTを行った。参加者354名を、強化モデル(症状クリニック介入[symptom-clinic intervention])と通常ケアの併用群、または通常ケアのみ群に割り付けた。介入では、GPが最大4回の診察で参加者に対し、十分な聴取と検討を行い、合理的な症状説明を提供し、症状に対する自己管理を支援した。一次アウトカムは、ランダム化後52週間のPatient Health Questionnaire 15(PHQ-15)スコアである。
結論
一次アウトカムにおいて介入群は、対照群と比較して有意な改善を示した(PHQ-15スコア12.2 vs. 14.1)。有害事象発生率は両群同等であり、介入に関連すると判断された重篤有害事象はなかった。
評価
見過ごされている難しいテーマだが研究は行われており、コミュニケーション強化介入は、現在の主流アプローチである。すでに10のRCTを対象とした系統レビューも発表されているが(https://journals.plos.org/plosone/article)、論文の質が低くエビデンスは弱い、としている。
この研究は、介入状況の監視も行った上質とみられるもので、有効幅は小さいが、有効と結論した。このような介入は新しい医療技法といえるもので、知識とスキルの習得には、かなりの時間・訓練が必要である。他方、医学教育では、PPSの問題はほとんど無視されている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38835003/)。