日本整形外科学の二次性OA予防における歴史的成功を報告
Life Course Epidemiology of Hip Osteoarthritis in Japan A Multicenter, Cross-Sectional Study
背景
日本で1972〜1973年頃に、一般人口を対象に新生児の自然な屈曲肢位を保つことを推奨する啓蒙運動が始まった。この予防運動の後、日本の新生児における発育性股関節形成不全(DDH)の発生率は劇的に低下した。
日本Kyushu University(九州大学)のNakashimaらは、2022年1月〜2022年12月に全国12病院で行った共同研究により、思春期・成人期の変形性関節症(OA)の生涯疫学を調査し、DDH予防運動への曝露との関連を評価した。
結論
患者1,095名(1,381股関節)が対象となり、調査時の平均年齢は63.5歳であった。患者795名(1,019股関節、股関節の73.8%)が股関節形成不全による二次性OAであった。1963〜1972年生まれの患者の股関節の約13〜15%が小児期にDDH治療を受けていたが、1973年以降に生まれた患者ではその割合は減少した。1973年以降に生まれた患者の重度亜脱臼(CroweタイプII、III、またはIV)の有病率は2.4%で、1972年以前に生まれた患者(11.1%、オッズ比 0.20)よりも有意に低かった。
評価
日本の整形外科学の、予防医学における歴史的成功を報告する記念碑的論文である。さらに、成人期発症の運動器疾患に対するライフコース疫学アプローチの有効性を明示して、他疾患への応用も促す結果でもある。